「…本気か?」
「はい。」
「退職、だなんて…なぜ?」
「体調が、良くなくって…」
「…考え直さないか?」
「…すみません。」
「…そうか。わかったよ。今まで、ありがと
うな。」
「はい。」
私は、ついに仕事を辞める決意をした。
余命は残り2ヶ月を切っていた。
だから、もう辞めることにした。
私は屋上にでた。
そして、私はある人に電話した。
「もしもし…」
「桜?」
「…お母さん。」
「久しぶり、だね。元気?」
「うん。お母さん、私ね。脳腫瘍があるの。」
「え…」
「あと2ヶ月も持たないと思う。だから、明
日から、入院するんだ。」
「そう…」
私の目から、涙が零れた。
「私ね、好きな人ができたよ…職場で、いい
先輩と同期もできたの。この間、サイン会
もしたの…」
「…楽しかったのね。」
「うん。うん…」
「良かったね…今度、お見舞い行くわ。明後
日にでも行くから。」
「うん。待ってる。」
「…」
「…切る、ね。」
「うん。じゃあ、また…」
私は電話を切った。
その時、
がたんっ!
屋上のドアの方で音がした。