やっぱり、お部屋は綺麗なんだな…








これは8年から変わらない。








「…昨日は叩いてしまって、ごめんなさい。」








「…僕も、強引に迫って、ごめん。」








「…本当に、舞音くんなんですよね…?」








「うん。」








「…大変、失礼な事を言いますが…何で、生き








てるんですか…?」








「…」








舞音くん、黙り込む。








私は更に問いかける。








「余命1ヶ月というのは、嘘だったんです








か…?」








「…嘘じゃなかった。それだけは、信じて欲








しい。」








「じゃあ、何で…」








「…別れた、後。僕は『生きたい』と望ん








だ。今までは、「どうせいつか、人間は死ぬ








から」と思って、生きることを望まなかっ








た。それなのに、君と過ごしたせいで、生








きたいと、思えた。だから、父さんに頼み








に行って、アメリカの最先端技術で、腫瘍








を小さくして、切った。手術の成功率は限








りなく低かったけど、それでも生きられる








なら、と思って受けた。手術は奇跡的に成








功。だから、僕は今ここにいる。」








「…」








言葉が出なかった。








「ここから、最低な話してもいい?」








私は黙って頷く。








「僕の話は聞いた?女癖が悪いって。」








もう一度頷く。








「あれ、本当なんだ。でも、体の関係だけで








おしまい。それ以上にはなれなかった。や








っぱり、桜以外じゃ感じられなかった。最








低でしょ。軽蔑してくれてもいいよ。」








「…最低ですね。」








「ごめんね…」








「でも、私も最低ですよ。」








「え…?」








「私、昨日キスされた時。久しぶりに舞音く









んに触れられて、嬉しくって舞い上がっち








ゃったんです。」








「え…!」








舞音くんの瞳が、キラキラと輝く。








「…あの、そんな目で見ないで下さい…」








「ごめん…でも、それって…僕で感じてくれた








って事、だよね…?」








顔が火照る。








「ご、めん…」








「い、え…」








「…ごめん。」

















沈黙が流れる。








「でも…」








沈黙を破ったのは私。








「私たちは、もう『元恋人』です。今は担当








と先生で…」








「嫌だ…」