食べられなかった私は、持ち帰るように言われた。 本来なら食べ切れなかったチョコレートはお墓に入れられるのだという。 しかし、死を受け入れられず、食べられない人は 専用の四角い桐箱に入れられ一部を持ち帰ることもあるのだとか。 それでも一週間で溶けて消えてしまうらしい。 こうして上々島くんのチョコレートは1Kの私の家にやってきた。 確かに、最初に比べて少し小さくなったような気がする。 匂いを嗅いでみた。 なんだか上々島くんの匂いがした。