奈那が指名したお店は新宿駅から徒歩10分くらいのおしゃれな居酒屋だった
余裕のあるテーブル席に案内されあたし達は静かに腰を下ろした
「外じゃ目立つから早くお店行こう」
感動の再会をする暇もなく奈那はすぐに歩いてしまったため少しショックだったけど
人目のない席を希望した奈那がなぜか嬉しかった
「奈那久しぶり
綺麗になったね」
奈那は長い髪を耳にかけながら静かにありがとうと言った
「茜も見違えるほど可愛くなったよ」
「やめてよ〜
奈那には負ける」
そう言ってあたしは笑ったが奈那は少し悲しそうな顔をした
「大丈夫?具合悪いの?」
そう聞くと奈那は肩で息をしながら突然泣き出した
「え、!?奈那、大丈夫??」
奈那は首を振って急いでハンカチと、ある雑誌を取り出した
ハンカチで目を拭きながら雑誌をテーブルに叩きつけた
それは数々の芸能人のスキャンダルを取り上げている有名な週刊誌だった
その表紙には大きな文字で
【ついに撮った!次世代アイドル深夜の熱愛デート】
と書いてあった
「これって・・・奈那のことなの?」
そう聞くと奈那は1ページを開いた
そこには奈那と男の人が2人で歩いている写真と生々しい文章が載っていた
内容によると2人は午後10時に渋谷のファーストフード店で合流し、そのままホテルに入っていったそうだ
「うそ・・・そんな・・・」
奈那は泣いているばかりでなにも答えない
10分以上が過ぎてようやく奈那は落ち着いた口調で話し始めた
「それ・・・明日発売なの」
「私・・・本当に馬鹿なことしちゃった」
「奈那・・・
どういうことなの?」
「相手は蕪木廉よ」
「え!?蕪木廉!?」
「彼、素敵でしょ?
私デートに誘われてすぐにOKしちゃったの」
「蕪木くん私のこと好きだって言ってくれたの」
「だから初めてだったけど・・・」
奈那はそれ以上なにも言わなかった
信じられなかった
奈那はそんなことするような人じゃないのに
「でもまんまと騙されたわよね」
「それ以来一切連絡ないし、こっちからしても出てくれない
私、捨てられたの」
言葉にした瞬間奈那はまた泣き出してしまった
「私はユニットから外された」
「CDは予定通り発売されるけど
歌詞カードに私の名前は載らない」
「謹慎処分よ」
