ふぅ〜








あたしは大きくため息をついた









久しぶりにこのゲームしたけど








まだ感覚が覚えていたみたい







結構体力使うけど






やっぱ楽しいな〜













中学の頃ドハマリして以来









部活がない時はいつもこのゲームをしていた







引っ越してから全然出来ていなかったけど








玲子から教えてもらったこのゲーセンは









学校から近いし



24時間営業









あたしは早速夏子さんに許可をとって朝イチにここにきた










こんな時間にいるわけないって思ってたけど







4つある席の1番端に誰かが座っていた







あたしはすかさず隣に座り








ラッキーと思った









しかも結構強くて







なんとか2回戦目は勝てたけど







初戦はぼろ負けだった









最終戦どう戦おうかな・・・









あたしはじっと画面を見つめて作戦を考える









すると突然隣から

パシャッ

っとシャッター音が鳴った







あたしはとっさに隣を向く








するとさっきまで戦っていた人が






スマホを向けて写真を撮ったようだった







マスクしてるしメガネもしていて顔はよく見えないが







男であることは確かだった








「ちょっとなにしてんの」








あたしがそう聞くとその男はこう言った









「城乃内のお嬢様ついに撮った!
現役レーサーの決定的瞬間!」









は・・・?何言ってんのこいつ








「意味わかんないんだけど」







すると男はマスクとメガネをとりながら






「つまんね〜女だな〜」









とため息混じりに言った










「え・・・!?」









あたしはその男の顔を見て驚いた








なんとあたしが対戦していたその男は







あの唐澤昂輝だった!







「唐澤昂輝!」






あたしは咄嗟に口にだす






「俺の名前覚えてたんだ」






唐澤昂輝は満更でもない顔をしている






「なんでここに・・・」









「それはこっちのセリフだ

ったく、俺のテリトリーに勝手に入ってきやがって」








どうやら唐澤昂輝はよくここに来ているようだった







「別にいいじゃない



それより!



写真消してよ!」






「やだね」






意味わかんないこいつ





「盗撮で訴えるよ!?」






「まだ保存してねーし」






「そういう問題じゃないでしょ!」





「あと、1回(対戦)残ってるだろ?」






「え?」





「お前が勝ったら消してやる


俺が勝ったら保存するってことでどう?」





こいつ、笑ってやがる





完全に面白がってるな





ただあたしがこれを拒否したところでこいつは勝手に保存してしまうだろう






「いいよ」






「よし、決まりだな」





そう言って唐澤昂輝は画面に向き直る





こうなったら何が何でも勝ってやる