店からバイクが置いてある場所までの道のり
あたし達はずっと無言だった
とりあえず今日わかったことは
奈那を陥れたのは蕪木廉ではなくまったくの別人だったってこと
それはもっと辛くて残酷なことだった
バイクにまたがりあたしはお礼を言った
「なんだよお前らしくねーな」
蕪木廉は不思議そうにあたしの顔を見る
「あのさ・・・」
「なに?」
「どうして嘘ついたの?
カラオケで聞いた時」
あの時蕪木廉はいかにも相手の男のような態度をとってた
「あー
あれはお前の怒る顔がみたかったから」
「はい?」
「あと、否定したら面倒くさそうだし
ほら、あの・・・さっさと始めたかったから」
「信じらんない!
蕪木廉って誰にでもあーやって番号教えちゃうのね!」
「ちげーよ!」
蕪木廉は大きな声で否定した
「あんときはちょっといろいろあってムカムカしてたっつーかなんつーか
電話番号だってそんな簡単に教えねーし
とにかく!!!
もうあんなことしねーよ」
蕪木廉は珍しく焦っているようだった
「ほんとに?もうしない?」
「あぁ」
蕪木廉は恥ずかしそうにうなじに手を回した
「あたしもごめん・・・」
「え?」
「その・・・あんたに言った言葉を」
「あぁ〜
『死ねヤリ〇ン!』
ってやつ?」
蕪木廉はにやけながら言った
言わなくていいっつーの!
バシッ!
あたしはグーで蕪木廉をどついた
「いって!何すんだよ!」
「うるさいなー!
もう行こう!」
あたしはヘルメットをかぶった
蕪木廉も前に座りヘルメットをかぶった
バイクにエンジンがかかる音がする
今度はあたしから蕪木廉の腰に手を回した
「落ちんなよ」
そう言ってバイクは動いた
