翌日。


昨日のことが、まだ夢みたいだった。


あの一ノ瀬くんと、夜の屋上で偶然会って、星をいっしょに見た。


いつでも星を見に来ていいと言われた。


しかもそれは、二人だけの秘密だ。


どうしたって、頬がだらしなく緩んでしまう。


「ん、どしたの梨沙、今日は何だか楽しそうじゃん」


隣に並んでいっしょに登校していた紗英が笑顔で言ってくる。


「え、そうかな?」


「うん、ここんとこちょっと元気がなかった感じだけど、めずらしくいい顔してる。いいことあったん?」


「あ、うん……」


そっか、紗英にはやっぱり最近落ちこみ気味だったこと、気が付かれてたんだ。


小学校からの、大事な親友。


紗英には近いうちに、ちゃんと家のこと、話さないと。


「あ、見て梨沙、あそこ!」


と、紗英が声を上げた。