「よし涼。どっちの線香花火が長く燃えてるか、勝負な」


「……いいけど。負けないよ」


「よしきた。梨沙、判定頼む」


「あ、うん」


二人が手にした線香花火に火を点けようとした、その時だった。


クラスメイトの一人がふざけて打ち合っていたロケット花火の一つが、涼くんの方へと飛んできた。


涼くん、気付いてない……!


考えるよりも早く、身体が動いていた。


ほとんど体当たりをするようにして、涼くんの身体の位置をずらす。


直後に、それまで涼くんが立っていたところをロケット花火が通り過ぎていった。