始まりは私がピアノを始めて少したった5歳くらいの頃。私は楽しくピアノを弾くのが好きだった。けれど、母はそれを許さない。ちゃんとまじめに楽譜通りに弾かないと許さない。ある日私は弾くのが楽しくてそのままピアノの練習をした。そのときに、母が後ろからキャベツを1玉投げつけてきた。頭には当たらなかったものの頭の横スレスレを通って壁にぶち当たった。キャベツの葉がヒラヒラ手の上に落ち、キャベツは床に落ちた。母は癇癪持ちだった。キーーーーーーーーーッ!!!と起こりだしたら止まらない。それまで私は知らなかったし、知っていたとしても覚えていない。今16の私が覚えている5歳の記憶はその時のことだけだ。それほど衝撃だった。次に覚えているのは引っ越してからのことで小学生になってからで、母のいるところでピアノを弾くことが嫌いだった。好きなはずのピアノも楽しくなくて、練習も嫌いだった。難しい曲に挑むのが好きなくせに弾きたくないなんて矛盾している。それくらい母が聴いていると言うのはストレスで弾くのがいやになるのだ。
そして、気分を変えて元が運動音痴だったのでバスケを始めた。バスケを始めて良くなったのは足が早くなったことと、力が強くなったことくらいで母の癇癪持ちに耐えられるほどの忍耐力は付かなかった。期待していたほどの効果はなく、ただ母の気を狂わすだけだった。他にもやりたいことが沢山あった。英語、ダンス、新体操、アトリエ、進研ゼミ、etc……だけどどれもさせてはくれなかった。ピアノとバスケと硬筆だけ。それでも色々やっているように見えるかもしれない。だけど、私は忙しい方が