百年の恋




着物の裾で涙を拭きながら、

誰もいない廊下をゆっくりと歩く。


普段なら絶対に真っ暗な廊下を一人で歩けないのに、

満月のおかげで廊下は明るく、これならなんとか一人でも自室に戻れそうだった。



風が涼しくて、もうすぐ来る夏はきっと過ごしやすいんだろう。



こんなに泣いて、体中の水分がなくなってしまったらどうしよう。

部屋に帰ったら、咲夜に怒って、水を飲んで、寝よう。


トキから受けた一方的な怒号は私の中だけではもうはちきれそうだ。

私もどこかに怒りをぶつけたい

そんな衝動に駆られた。




その時、風が吹いて、私は目を閉じ着物の裾で顔を隠した。


髪の毛が風で流され、砂が入るのをおそれ目を固く閉じる。


風がやみ、私はゆっくりと目を開けた。



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