「柚季」
後ろから名前を呼ばれて振り返る。
そこには私の護衛であり親友である、咲夜がいた。
咲夜は私の幼馴染で、まだ私と同い年にして立派な忍びだった。
私と出会い、忍びの里で修業し帰ってきた。
忍びの全てをたった二年で学んできた咲夜は、忍びの里の時期頭領になるとされていたのに私の護衛をかって出たのだ。
そんな咲夜に私は感謝しているし、なんでも話せる親友だと思っている。
「咲夜、なにかあった?」
「お殿様が呼んでる。勉強、またさぼったな」
呆れながら咲夜にため息をつかれてしまった。
別に好きでさぼってるわけじゃない。
勉強なんて集中力が続かないし、今日はとってもいい天気だから外に出たかっただけなのに。
「世話役が激怒してたぞ。うちの姫はおてんばがすぎるってな」
「げ…それは帰る気なくすわ…」
「お前、お姫様なんだからもうちょっと大人しくしたら?」
「うるさい」
お殿様の父上から生まれたのだから、私はれっきとした姫なのよ!
もうちょっと礼儀を知りなさい!
なんて、この咲夜に言ったって無駄だ。
なぜかって、じゃあもうちょっと姫らしいふるまいをしてください、って言われるに決まってるもの。
私はこの国を治める如月城当主の娘、柚季姫。
勉強も作法も苦手だけど、お姫様です。
もうすぐ十歳になります。
いつか私がこの国を継ぐってわかってはいるけれど、
やっぱり勉強だけは手につかない。
だけど私はこの国が大好きで、
もっといい国にしていきたいって思ってる。
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