その後私は真と二人で部屋を出された。
父上は早く真と仲良くなってほしいらしい。
真の父上はいつかこの国の武士団の団長になる方だと教わった。
武士団長の息子と姫が親密なほうが今後を考えてもよいと思ったのだろう。
私達は特に話すこともないまま、昨日出会った柚の木の廊下にたどり着いた。
「あの、真様?」
「真様など、おやめください。真でよいです」
「えっと、じゃあ真。歳はいくつ?」
「十一になります。」
「私よりも年上じゃない!」
「たった一つしか変わりませぬ」
真は素直に笑ってくれた。
先ほどまで父上達に囲まれていたからか、素直な表情があまり見れなかった気がする。
だから二人になって素直な笑顔が見れて嬉しかった。
「真は私の話し相手なのでしょう?なら貴方も敬語はいらないわ」
「いや、そういうわけにはいきません…」
「真ってまじめなのね」
私が欲しいのは堅苦しい世話役や護衛じゃなくて、友達。
身分の高さから心から繋がれる友達が少ないから、真も私の友達になってほしかった。
しばらく唸って考えた後、真は小さくため息をついて言った。
「なら、なるべく努力させてもらいます」
「そのほうが気楽。それがいいわ!」
私は嬉しくて、笑った。
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