百年の恋




どんな方と会うのか、トキに聞いても全く教えてくれなかった。

会ってからのお楽しみです、としか言ってくれないのだ。

きっと身分の高いお侍様とかなのだろう。


少し緊張しながら小股で廊下をトキの後ろにつきながら歩く。

ゆっくりと呼吸しながら、礼儀と行儀を頭に叩き込む。


「殿。柚季姫様をお連れいたしました」


トキが一礼して先に中に入った。

私も一度ゆっくり呼吸してから中に入る。


中には大人と少年の男性二人が私に向かって頭を下げていた。

私は奥に座る父上の隣に座った。


「もうよい。顔をあげなさい」

父上が優しい口調でそういうと、ゆっくりと二人は顔をあげた。



「…えっ」

少年の顔を見て、私は驚きのあまり声をあげてしまった。


昨日、柚の木の下で会ったあの彼だったのだ。


「どうした柚季。もう知り合いなのかい?」

「えっ…ええ、まあ…」


ふと彼を見ると、目が合ってふと微笑まれた。

体がびくっと震え、思わず目を背ける。


今まで同じくらいの年の男の子となんて咲夜としかまともに話したことがないのに、こんな美形の方に微笑まれても対応できない!


チラッとその隣の大人の男性を見てみると、とても勇ましい顔立ちで、終始不機嫌のような顔だった。

一言でいうと、怖い。


まるで幾千の戦も乗り越えてきた猛者のような体つきで、おおきな刀を横に携えていた。


「あの、父上。この方達は…」

「ああ、この者は緒方清十郎といってな。

刀の強さと、戦の戦略を立てさせたら彼の右に出るものはいないよ」


やっぱり武士の方でしたか。

いや、一目見ればわかるのだけど、



「お侍様でしたのね。心強いわ」

「ありがとうございます、姫様。お会いできて光栄です」


初めて聞いた清十郎様の声は低く、やっぱり怖いイメージを抱いてしまう。

いえ、人を外見で判断するのはよくないのだけど…


「清十郎と儂は昔ながらの付き合いでな。

しばらくこの地を離れておったのだが、戻ってきたので柚季にも紹介したくてなあ」


この私ののほほんとした父と、この厳格そうな方がお友達だなんて!

…信じられない




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