「…ねえ?」
私は思い切って、横から彼の顔を覗いた
すると、そこには無機質な瞳があの鳥を捉えていた
背筋がゾッとしたのを覚える
当たり前にできなくなったことが、周りの人や物に当たり前にやられるとこんな絶望の闇のような深い黒の瞳を醸し出すとは知らなかった
こんな綺麗な彼に、そんな絶望の瞳は似合わず私は慌てて金平糖を取り出す
そして、彼の目の前に一粒の金平糖を出す
「あっ…」
「おまけ。先生には内緒よ?」
やっと彼は私を見た
数秒もせず、瞳からは絶望が消え先ほどの有機な光が弱々しく輝きだした
「それは食べないと損だな」
彼は目を細め、微笑んだ
私の目は、彼の微笑みから晒さず1秒1秒を録画するかのように彼から離れなかった
生きている間に彼は何回微笑むのだろう
そして、彼はそんな私なんか気にせず金平糖を口に運ぶ
きっと、あの鳥にヤキモチを妬いていたんだな
そう思うことにした

