"あの人" みたいに お母さんを失望させてはいけないから。
自分が本当にしたい事を押し隠してる。

「楽器とかは⁇何か 弾いたりできるの⁇」

「ドラムが家にあるから、ドラムなら。」

ドラムが家にある、って凄いよね。
俺の家にも楽器あるけど "あの人" のギターとか、ベースとか そういう弦楽器とかで、そこまで大掛かりな楽器はない。

小学校2年までピアノを習ってたけど キーボードを代わりに使ってたし、ちゃんとしたピアノもない。

話を聞くところによると、頼のお父さんが 中高で軽音部に入ってて ドラムをしていたらしい。

音楽に理解がある親で羨ましい。

季節は移り、夏になった。
夏休み。

ほぼ毎日 夏期講習で1日中 塾に通っていた。

まだ5年生だから、マシなのかもしれない。
6年生は もっと厳しくハードなスケジュールの元で生活を送っているらしい。

その頃には、同じクラスのほとんどの人と喋れるようになっていた。

けれど、やっぱり 頼は俺にとって特別で。
塾にいる時はほとんど 一緒に行動をして、休みの日にも公園とかに集まって 遊んだりするような仲。

下手な学校の友達よりも断然 頼と居る方が楽しい。