俺が教室のドアを開けると、そいつは俺の方をジッと見た。
そして、目を逸らした。
「おはよう、ねぇ……隣 座っていい⁇」
と声をかけた。
気まずかったのもある。
でも、誰一人 友達の居ない塾に通うことは本当に苦痛で 友達……とは言えなくても 喋れる相手が欲しかった。
声をかけられて嫌な気にはならなかった様子。
「うん、いいけど。」
俺はそいつの隣に座った。
「月院小の "小川 恋華" ……恋、って呼んで欲しいな。」
「俺、月ノ環の "橋下 頼唯" 。
頼でいいよ。」
月院小の隣に月ノ環小がある。
隣、ってアレだよ⁇学区が、だよ⁇
結構 家が近かったりするのかな⁇
俺の家、ギリギリ月院小の学区で あと1本通りが違えば 月ノ環小の学区 ってところにあるんだよね。
その後、他の奴が入ってきたり 直ぐに先生が入ってきたりして 話すことはできなかった。
退屈な授業が終わり、先生も教室から出て行った。



