「恋華、お前はアイツみたいな人生を歩みたくなんて ないでしょう⁇

その為にも、中学から 偏差値の高い学校に入って 良い大学を目指すの。

世は学歴で全てが決まるんだから、……分かってる⁇」

毎日 同じようなことを聞かされてる。

俺には、その言葉を肯定することしか許されていない。

否定なんてした日には、どれほど怒られるんだろう⁇

考えるだけで怖いから、そんなことはしない。

俺はただ、お母さんの言うことだけを聞いていればいいんだ。

"あの人" が帰ってくると、お母さんは毎日 声を荒げる。

と言っても、いつも遅い時刻。
家族なのに、 "あの人" の姿はもう長い間 見ていない気がする。

何でお母さんはそこまで "あの人" のことを否定するんだろう⁇

毎夜毎夜繰り返さる、中身のない、意味のない口喧嘩。怒鳴り声。

その声を聞きたくなくて、俺は 布団の中に潜り込む。
ベッドの上で、早く寝よう、早く寝よう、それだけを思い 目を瞑る。

毎日 見る夢は決まっている。

家族全員が仲良かったあの頃の夢。

目が覚めて、現実に引き戻される。

もう、昔には戻れないんだ、って。