「……軽音部、入部希望者⁇」
ボーカルをしていた人がマイク越しに聴いてきた。
ドア開いてるままにマイク越しで喋っちゃったら 防音扉の意味ないじゃん。
「はい、入部希望です。」
って答えて とりあえず 中に入った。
それで、ドアも閉めた。
器材がたくさん置かれていて、コンセントから伸びた延長コードに刺さったプラグの先のコードが足元にたくさん伸び放題に伸びている。
いつか、足 絡まらせて転けちゃいそう。
「あ、そうなんだ……私たち ビックサンダーなんだけど、2人は入りたいグループは決まってる⁇」
「いや、決まってないです。」
ツインボーカルのうちの初めに声をかけてきた人じゃない方。
さっきのは 男の人で、今回は 女の人。
俺たちが今年初の軽音部入部希望者なのかな。
なんとなく、接待の仕方がたどたどしい。
「それぞれのグループについて話したほうがいいんじゃねーの⁇」
ドラマーの人は面倒くさそうにしている。
「グループには 必ず入らないといけないんですか⁇」
「自分たちで立ち上げてもいいけど、メンバーが揃わないかもしれないから……私は既存のグループのサポートメンバーに入ることをお勧めする。」
ボーカル女。
でも、バンドにそう何人も人 要らないよね。
現にサポートメンバー、って言ってるし。
そんな、誰かの下について 音楽がしたいんじゃない。



