愛夢は日本トップレベルに偏差値の高い大学の法学部を卒業しているのに 何故か売れないミュージシャンをしている。

ちゃんと就活すれば 働く当てもあっただろうに、何故か音楽の道に突き進んでしまった。

そのことをお母さんは今でも怒っている。

「そろそろ結婚してーなぁ。」

「愛夢、ここ最近ずっと彼女いないんでしょ⁇」

「そんなこと言うな!!!」

「あれ、今 何歳だったっけ⁇」

「かっこいいお兄ちゃんの年齢くらいちゃんと覚えとけ‼︎

27だよ!!!」

愛夢が中学3年生の時に俺は生まれたのかな⁇
かなり、歳の差がある。

ある程度、愛夢が大きくなって 新しい子が欲しくなったんだ、ってお父さんが言ってた。

そんな内部事情を当本人に言わないで欲しかったかな。

「まぁ、頑張ってよ。
俺は 愛夢の音楽好きだから。

……お母さんとも仲良くしてね。」

「何だよ、水クセェこと言うなぁ。」

愛夢に早く部屋から出て行って欲しいから言ってるんだよ。

「イキナリ、宿題がいっぱい出たんだよ。

宿題を貯めるわけにはいかないし、早いうちに終わらせておきたいから。」

「そうか、なら頑張れよ。」

僕の頭をポンと叩くように撫でてから 愛夢は出て行った。