家に帰ると、まだ早い時間なのに "あの人" が帰って来ていた。

相変わらず、お母さんと揉めてるし。
そんなに仲が悪いのなら お互い 顔を合わせなきゃいいのに。

っていうか、お母さん 絶対に機嫌悪いじゃん。

こんな調子で、軽音楽部に入ること許してくれるのかな⁇

リビングではお母さんと "あの人" が喧嘩しているから 直行で2階の自分の部屋に向かった。

暫くすると階段がギシギシと音を立てているのが聞こえた。

「恋、入るぞー⁇」

って言って、勝手に部屋に入って来たのは "あの人" ことお兄ちゃん "小川愛夢" 。

「久しぶりだなぁ、でっかくなったなあ。」

そう言って、乱暴に僕の頭をワシワシと撫で回す。

「もう……やめて。」

近づいてくる愛夢から離れた。

髪、グチャグチャにされたし。
そうでなくても、俺の髪 癖っ毛で爆発しやすいのに。

「お前、中学受験 合格したんだってな、おめでとう。」

「愛夢はいつになったら 働くの⁇」

愛夢は顔をしかめた。

「お前まで 母ちゃんみたいなこと言うなよ〜。

あと、もうちょっと ってところまで来てんだよ。

30になってダメだったら就職する、って言ってんのに 聞いてくれねーんだよなぁ。」