「ふふ、ははは……すっげぇ音」
   






お爺さんでもない、お婆ちゃんでもない
若者の声に私はびくっとした。






びくっとした反動でそのまま振り向くと
金髪のちゃらい……高校生くらいの男子。











「え? え?」








お婆ちゃんとお爺さんだけじゃないの?
こんな人、聞いてないけど……!










「さっきもう一人いるって言ったじゃろ? 彼のことだ」










さっきはいなかったお爺さんが、
彼の横から補足の説明をした。










そんなこと、聞いたっけ?









「病気の子がくる施設で朝陽ともう一人しかいないと、言ったじゃろ?」








確かにそのような内容を聞いた気がする。






「こいつ、朝陽っていうんだ。へぇ、面白い奴」








さっき、お腹がなったのを聞かれたんだった。
気付いた瞬間、顔が赤くなっていくのが分かった。







「えっと……よろしくお願いします。あなたは?」








「ああ、名前? 凉」






りょう……








「……漢字は?」






「涼しいの凉」 







「ああ、そうなんだ……」






言うことだけ言ったという満足か、
凉はすたすたとテーブルについた。






「頂きます!」    







大口を開けて野菜を頬張り、
肉をがっついている。








また二回目のお腹がなりそうな予感がして
私もいそいそと彼の前に座った。







「そうだ、凉。朝陽にこの周りを案内してくれない?」







お婆ちゃんのお願いに凉は、


「えー、俺が?」



とめんどくさそう。









自分でいきます、って言いかけて
土地勘がないから迷うことが目に見えた。