「これとこれ、運んでもらえる?」
「はい」
受け取った大皿を、テーブルの中央に置いた。
テーブルも木で出来ていて芳香が漂っている。
……よく考えたら、私はいつからここにいるんだろう?
いつから?
ここに来る前にどこにいたか分かれば
ここにまずいないんだろうけど……
ずっと昔から、ここで眠っていたような
そんな感覚にさっきから襲われてる。
「お婆ちゃん、教えてほしいことあるんだけど」
「どうしましたか?」
「私がいつから寝てるのか教えてほしいの。私は何年前……何日前、何時間前からここにいて、寝てたの?」
困ったように視線を動かすお婆ちゃん。
これもまさか……秘密?
「言えないようならいいんだ、大丈夫」
「ここに来たのは数時間前ですよ」
数時間前……か。
寝てたのは、それだけ。
「ありがとう、お婆ちゃん」
「いいえ。これも運んでもらえるかしら?」
取り皿を指しているのだろう、
私はうなずいてそれを運んだ。
美味しそうな手料理が並んでいる。
見てたらお腹がグーとなった。
恥ずかしくて赤面し後ろを向いたら
お婆ちゃんは楽しそうに笑ってた。
「もう……!」
この家には、どうにか馴染めそうだ。


