「じゃ、じゃあ、私は何でここに居るの?」







「……簡単に言えば、ここは自分の事を忘れてしまった子供が来る施設じゃ。何と言っても今は君ともう一人しかいないが」

 
 







「何で、私は自分を忘れてしまったの?」









「病気じゃよ。でも、大丈夫。ここでは、その記憶を取り戻す場所なんじゃから」









記憶……。







「どうしたら、記憶は戻ってくるの?」







お爺さんは、微笑んで教えてくれた。








「瞬間的に、懐かしいと思ったものからヒントが得られる場合が多いよ」 









瞬間的に、懐かしいと思ったもの……。











「難しい話はこれくらいにして、ご飯を食べよう」









お爺さんが立って、奥に消えていくのを見送って
上を見上げれば天窓があった。
道理で、暖かったわけだ。







恐らく、かけてもらっていた毛布に
日光が当たっていたんだろう。












天窓のすぐ、そばに
さんさんと太陽が照っていた。