数分前の事をとうに忘れてしまって
覚えていない。






きっと、ここより寒いところにいたに違いない。







ここは、物凄く暖かいから。








毛皮のようなものでくるまれていて、
それが頬を優しくくすぐる。







「んー」





ぼんやりと見えた視界には
見たことのない景色が広がっていた。








たぶん、中の様子からしてログハウスだろう。
自分のすぐ隣で火が揺らめいていた。
薪が燃えていくのが
瞬きする目に何回も映される。









やっとのことで、私は声を絞り出した。
人は見当たらない。








「ここ、どこ?」