コレットが着ている夜着は変わらないが、湯上りの肌には、いつもよりも丁寧に香油が塗られている。
「まさか……ね?」
世間一般の常識では、結婚したふたりはベッドを共にするもので、今夜は初夜にあたる。
しかし、コレットと陛下は偽装なのだ、王妃の部屋に来るはずがない。
それに、ここまで送ってくれた陛下はなにも言ってなかったし、渡されていた儀式の予定表には夜のことは記載がなかった。
気にせずに眠ることに決め、ベッドに入ろうとする。
だが、今日に限って、リンダが部屋を辞していくときに消していくはずの灯りが点ったまま。
「忘れていったのよね?リンダにしては、珍しいわ」
壁にあるものは触ったことがないが、大抵どんなランプでも消し方は同じだ。
コレットは壁に取り付けられたランプの灯りを消そうと、背伸びをしてうんと手を伸ばした。
「あれ?スイッチがない?」
牧場のランプと同じ消し方のはずが、どう消すのか分からない。
スイッチを探してまごまごしていると、目の端に白い布を捕らえた。
今のはなに?と思う間もなく、背後から延ばされてきた大きな手が重ねられていた。
「ここの灯は、私が消すものだぞ。君は消しては駄目だ」
突然触れられたことと頭の上から降ってきた低い声で、一瞬頭の中が真っ白になる。
けれど、コレットのことを“君”と呼ぶ男性は、ひとりしかいない。
「……え……陛下??」


