狼陛下と仮初めの王妃



一日立ち入り禁止だったお部屋は、がらりと様変わりしていた。

調度品の配置もそうだが、それよりもなによりも、今までとお部屋の位置が違っている。

階段から一番遠い場所、つまり陛下のお部屋からは真逆の位置にある奥の部屋に変わっていた。

王妃付きの侍女であるリンダの部屋は隣になり、呼べばいつでも来られるようになっている。

コレットがいままで使用していた部屋は、ふたりの間に生まれた王子や王女のものになる予定だという。


「たくさんお部屋が空いておりますから、何人お子さまをお生みになっても大丈夫ですわ!」


リンダの言葉に対して、コレットは曖昧な笑顔を返すしかない。

偽装結婚だから、子どもを産むなどありえないことなのだ。

でもふと思う。

最上階にはコレットとリンダと陛下と、あと数人の侍女が部屋を使用しているだけでガラガラ。

何しろガルナシア城はやたらと大きくて広く、最上階の廊下の両側には何枚もの扉が並んでいる。

数えたことはないが、大小合わせて、お部屋は二十以上はあるはずだ。


「ねえリンダ……きっと、建築以来一回も使ったことがないお部屋もあるわね?」

「いいえ、コレットさま。そんなことはありませんわ」


リンダが仕入れた情報によると、先代までは陛下の部屋は四階にあって、最上階には正室と側室が住んでいたそう。

複数の側室がいて華やかで、権力争いも激しかったらしい。