狼陛下と仮初めの王妃



難しい問いかけにどう答えるべきか悩む。

四面楚歌とはこういう状態をいうのだろうか。

ミネルヴァはしたり顔でコレットを見ており、ほかの重鎮とご婦人方はどんな答えを出すのか興味津々な様子で、にやにやと笑っている人もいる。

隙あらば王妃の座から引きずり降ろそうと企み、攻撃材料を探しているんだろう、下手なことは言えない。

こういうとき、皆がご自慢するご令嬢ならばどう切り抜けるのだろうか。

いや、そもそもこんな事態に陥ることはないんだろうか。


コレットは気持ちを落ち着かせようと、金の燭台で揺れる蝋燭の炎をじっと見つめた。

そのゆらゆらと動く様子から、ある日の出来事を思い出していた。

両親が亡くなって三日目、ニック夫妻がコレットを迎えに来た日のこと。

あのときもこんなふうに蝋燭の火が灯っていた……。


黙ったまま蝋燭の炎を見つめるコレットに、陛下が促すような言葉をかける。


「君の思うままを答えればいいぞ」


コレットを見つめる紫の瞳は、いつも通りに鋭く厳しい。

けれどその優しさを含んだ声色と言葉尻からは、どんな答えでも受け入れるという気持ちが伝わってきた。

コレットはもう一度炎を見た後、一同を見回し、膝に置いていた手を組み、ぎゅっと握った。