狼陛下と仮初めの王妃



彼の一言により、会食の席が騒然とし始めた。


「まあ!隣国の方がこの国の王妃など務まるのですか?我が娘のマリアナの方がずっと適任ですわ。あの子は年号と日付を問いかければ、その時国に何が起こってたか、即座に答えることができますもの。法律も暗記しておりますし、王妃として申し分ない資質がありますわ!」


ミネルヴァ婦人がツンと鼻をあげて娘自慢をすれば、他の婦人も娘自慢を始める。

皆のご令嬢は縁談として陛下にオススメ済みで、どうしてコレットが選ばれたのかと、納得できない様子だ。

コレットは何も言うことができず、ただ聞き役に徹していた。

陛下は瞳を光らせながらも、無言のまま葡萄酒を飲んでいる。


「儀式では、誓いのキスを違え、司祭の宣言を待たずに退席しておられます。無効とすることもできますぞ!」


ミネルヴァがここぞとばかりに嬉々として言うと、陛下の低い声が飛んだ。


「黙れ、ミネルヴァ」


それは静かだが怒りを含んだ声色で威厳に満ちており、場が一気に静まった。

ミネルヴァをはじめとした皆の表情は青ざめて強張り、物音ひとつしない中陛下の声が響く。


「私は家柄で妃を選んでいない。それに、儀式は正当に終了している。彼女が、王妃だ」


文句は言わせないと気迫を込めて言う陛下に対し、ミネルヴァが再び声を上げた。


「あ、愛情だけでは、一国の王妃は務まりませんぞ。資質があるとおっしゃるならば、彼女に問いましょう!あなたはこの国の王妃としてどうあるべきとお考えですか?どうか、お答えください」