狼陛下と仮初めの王妃



ガルナシア城の最上階、朝の廊下。

サヴァル陛下は定位置となった階段そばに立ち、コレットを待っている。

壁に背を預けて腕を組みリラックスしている様子は、コレットにはお馴染みになりつつある。

けれど、彼から醸し出される威厳と体を貫くような強い眼差しは、部屋を出た瞬間から感じられ、コレットを緊張させて足を鈍らせてしまう。

食事の間で待っていてくれたら少しは気が楽なのにと思うが、陛下は一緒に行くと決めたらしく、毎朝同じ場所にいるのだ。

そんな陛下を見て、リンダは頬を赤らめながら言う。

“陛下のご様子は、コレットさまへの愛情が、ほとばしるようにあふれ出ておられます~”と。

リンダにとっては、陛下が恋い焦がれて妃に迎える人と思い込んでいるから、そう思うのだろうけれど。

コレットにとっては“教育の成果を確かめられている”状態に過ぎなくて……。


「陛下、お連れいたしました」


先導していたリンダが微笑みながら辞して行く。

陛下と向かい合ったコレットは、ドレスの裾を少し上げて礼をとった。