狼陛下と仮初めの王妃



リンダはまだ心配そうにしつつも、てきぱきとお茶の準備を始めた。

金の縁取りのある美しい花柄のティーカップとソーサー。

桃色の薔薇の刺繍が豪華なティーコゼー。

シュガーポットとミルクポットについた金の取っ手は、優雅なS字カーブを描く。

これら全部、陛下が急ぎで揃えさせた、コレット専用のもの。


リンダがティーコゼーを取ると、爽やかなハーブの香りが部屋に広がる。

カップにお茶を注いだリンダは、ワゴンをコレットの前まで動かし、しゅんと眉を下げた。


「すみません、このままお召し上がりくださいませ。本当に、ご不便をおかけしますわ」


ワゴンの上には、ほかほかと湯気の立ち上るお茶と、小さな焼き菓子が載せられている。

言われたコレットの方は、きょとんとしてリンダを見た。

なにが不便なのか、ちっとも分からないのだ。

彼女にとって、ベッドに座ってお茶を飲むのは至極当然なことで、牧場の部屋では常にそうしていた。

頭の中に小さな疑問符を浮かべつつ、カップを口に運んだ。

一口飲むと爽やかな香りが口いっぱいに広がり、牧場の草原を思い出させ、胸いっぱいに新鮮な空気を吸い込んだ気分になれた。

焼き菓子を頬張ると、程よい甘さが疲れた体に染みわたっていくようで、気分をほっこりさせる。