「でも、それなら、本当のお妃さまを決めて、お迎えになればいいと思います。面倒ではないんですか?」
コレットが遠慮がちに言うと、アーシュレイは首をゆっくり横に振った。
「城の大臣の中には、自分の息のかかった娘を王妃とし、陛下をたぶらかしてもらい、政務を牛耳ろうとする者もいます。あなたが偽でも王妃となることで、そんな者たちから陛下を守ることになるんですよ」
「わたしが、陛下をお守りする……?」
「そうです。ひいては国の平和を守ることにもなります。期間は、我々が、“心身ともに王妃にふさわしい娘を見つけるまで”、です」
アーシュレイはコレットが王妃となり大臣たちの目を欺いているうちに、しかるべきお相手を見つけるのだと言った。
「なるべく急ぎますが、お相手が見つかるまでは、あなたにはしっかり王妃を演じてもらわなければいけません!よって、ダンスも、流麗に踊れるようにしなければ!わかりましたね!?」
お沙汰ですが平和を守るためなのです!と拳を振るい熱弁する彼の勢いに押され、コレットは思わずピシッと姿勢を正した。
「は、はいっ。がんばります!」
わたしが国の平和を守る……と呟き、コレットが頬を染めつつも決意を固めている様子を見、アーシュレイはメガネを光らせながら満足そうに口角を上げた。


