狼陛下と仮初めの王妃



慌てて立ち上がったコレットの傍まで来ると、背の高い陛下は少し屈んで声を潜める。


「君の教育のことは、アーシュレイに任せてある。基本的な作法はもちろんだが、なによりも先ずは、歩き方を覚えろ。今のままではどうにもならない」

「はい……かしこまりました」


コレットがしゅんとして返事をすると、陛下は少し口角を上げて姿勢をもとに戻した。


「私は政務に行く。君はここでアーシュレイが来るのを待ってろ」


そう言い残して、足早に出て行く。

歩き方を覚えろと申し渡されたのは、これで二度目だ。

あとに残されたコレットは、教育をがんばろうと思うとともに、少し不安にもなった。

教育係であろうアーシュレイとは、どんな人だろうか……。