食事の間には、茶色の長いテーブルがひとつ真ん中にあり、背もたれの高い椅子が五脚あった。
白いお皿とナイフとフォークが準備された席がふたつ。
そのうちのひとつの椅子が給仕の手に寄って引かれ、コレットは陛下に誘導されるまま、そこに座った。
スタスタと歩いていった陛下が向かい側に座ると、待ち構えていた給仕たちは朝食をテーブルに運び始める。
温かい湯気の立ち上るポタージュにサラダ、香ばしい香りを放つ焼きたてのパンに卵料理に肉のソテー。それにみずみずしいフルーツ。
お腹が空いているはずなのに、美味しいはずなのに、コルセットの締め付け感と緊張のせいでまったく味が分からない。
陛下はなにを話すでもなく、黙々と食べている。
給仕の静かな足音と、カチャカチャとカトラリーが皿に当たる音がするだけ。
言葉は、たまに給仕が言う「失礼いたします」と「お下げします」のみ。
コレットは、こんな静かな中で食べるのは初めてだ。
牧場ではいつだって誰かが話をしていた。
とても楽しくて、食事もおいしく感じられた。
ここは豪華だけれど、冷たい。
食べている気がしないまま、お皿を空にして朝食を終える。
先に食べ終わりコレットの食事が終わるのを待っていた陛下は、彼女がカトラリーを置いたのを見届けるとスッと席を立った。


