「さあ、お支度が整いましたわ。お食事の間までご案内いたします」
ささどうぞと、ヒール付きの靴を履かせられて立たされたコレットは、リンダの後に続いて廊下に出る。
おぼつかない足取りでゆっくり歩いていると、前方の廊下の隅に人が立っているのが見えた。
遠目だが、その人は壁に背中を預けて立ち、腕組みをしているがリラックスしているように見える。
紺色の服を着ており髪は銀色で……。
靴音を耳にしたのか、ぱっとコレットの方を向いた。
だんだん近づいていく彼女の姿を、腕組みをしたままじーっと見つめている。
このとんでもない威圧感、あれは、サヴァル陛下だ……。
「まあ大変ですわ!下でお待ちのはずですのに、あそこにおられます。自らお迎えに来られるなんて……急ぎましょう」
リンダは焦るように言って、ゆっくりなコレットを気遣いつつ少し足を速めた。
「陛下、お連れいたしました」
リンダが小さな声で言い、頭を下げたまま後ろ足ですすすとコレットの背後まで下がっていく。
陛下は壁に預けていた背中を放して腕組みを解くと、緊張感たっぷりな表情を浮かべるコレットと向き合った。
三人以外誰もおらず、ぴりっと張り詰めた空気が漂う。


