狼陛下と仮初めの王妃



城を出てアーシュレイの馬に揺られること数十分、コレット目に牧場が見えて来る。

日にちにしてほんの数か月の間離れていただけなのに、妙に懐かしく思える。

のんびりと鳴く牛の声や、緑の中を渡る風がとても心地いい。

小屋の中で仕事中だったニック夫妻に「ただいま!」と元気よく声をかけると、ふたりは一瞬固まった後盛大に喜んだ。


「コレット、城の奉公はもう終わったのかい?」


アリスがそう訊けば、ニックも後を続ける。


「コレットは、王妃さま付きの侍女だったんだろ?ほら、異国出身だという」

「え……?そ、そうね。そうだったの!でも、もうお仕事しなくていいの」


アーシュレイはうれしそうに会話をするコレットたちを見て口角を上げ、一礼をして静かに城へ戻っていった。