「そこで、ですが。陛下……」
アーシュレイは促すような視線を陛下に送った。
陛下はいったん目を閉じて息を吐いた後、ゆっくり口を開いた。
「コレット・ミリガン。君に、お沙汰の終了を申し渡す。今まで、お勤めご苦労だった」
陛下の紫の瞳は強い光を放っており、じっとコレットを見据えている。
急に突き放されたように思えるが、お沙汰終了は予感していたことだ。
コレットは小さな声で「はい」と返事をした。
陛下の顔をまともに見ることができない。
「馬で牧場まで送りますよ。まとめる荷物はありますか?」
本当なら、陛下にもらったお裁縫箱などを持ってきたいし、途中の刺繍もある。
リンダにもお礼やお別れを言いたい。
そう思うコレットだが、王妃の部屋に戻るのは思い出がたくさん有り過ぎて、きつい。
きっと泣いてしまうだろう。
お沙汰終了の去り際は、見苦しいものにしたくない。
コレットは、気丈に前を向いた。
「いいえ、ありません。このまま牧場に帰ります」
じっとコレットを見つめている陛下に、きちんと礼を取って挨拶をし、アーシュレイとともに執務室を出た。


