狼陛下と仮初めの王妃



その後すぐに真面目な顔になり、騎士に追われているジフリードを見やった。


「しかしまさか、ジフリード・マイセルが……思いもよりませんでした」


内戦後は役所仕事も要領が悪く、人の生死は間違いも多かった。

そんな事情も影響しているのだろう。


「もう一度、役人に洗いなおさせましょう」


陛下とアーシュレイがこれからを相談している傍らで、騎士団員は疾風のごとく動き、敵を倒し続けている。

寄せ集めで統率の取れてない敵はもろく、あっけなく捕まっていく。

もちろんジフリードとマリアも捕らえられ、ひざまずいて項垂れていた。


「全員を捕らえました!」

「ご苦労。連行し、投獄しておけ」


騎士団長が敬礼をして陛下の前を辞し、捕まえられた敵の一団がぞろぞろと連れられて行く。

ジフリードは苦虫を噛み潰したような表情で陛下を睨みつけ、マリアは唇を噛みしめてコレットを睨んだ。

敵は怪我を負ってはいるが誰も命を落としておらず、コレットはホッと胸をなでおろした。

陛下の正しい裁きを受けて、罪を償ってほしいと思う。


陛下が走らせた馬は、少し先の位置でのんびり草を食んでいたらしい。

捕まえて戻ってきた騎士に報告を受け、コレットは馬が無事だったことを大いに喜んだ。


「さあ、城に帰るぞ。いろいろと、ケジメをつけねばならない」

「……はい」


陛下とふたりで馬に乗り、城へと戻る。

その道すがら、コレットはなんとなくお沙汰の終わりを予感していた。