狼陛下と仮初めの王妃



内戦前はユーリス王の祖母の家として、権勢を誇ってきたのだ。

さぞかしいい暮らしをしていたのだろう。

ところが内戦が始まり、生活が一変する。

家族が殺される中マリアだけは命からがら逃げおおせ、残った財で細々と暮らしていた。

そんなときにジフリードと出会い、野望を持ったのだろう。


「彼は、ユーリス王を殺めた本人だぞ。いつか裏切られるかもしれないぞ。いいのか?」

「そんなことは承知のうえだわ。だけど味方に引き入れてしまえば、私にとって、こんなに心強い人はいないの」


マリアはジフリードの頭の良さと行動力を買っているようだ。

若いマリアひとりでは、大それた事を起こすのは到底無理。

騙されて金品を奪われかねない。

知り合ってどれほどの月日を過ごしたか分からないが、お互いに信頼関係を築いたのだと思える。

主に、金の。


「マリアを女王に仕立て、後見人となる貴様は私腹を肥やす訳だ」

「それは、人聞きの悪いことですな。まあ、この手で、政務は牛耳らせていただきますが!」


高らかに声を立てて笑うジフリードの顔は、醜く歪んでいる。

もとは医師で人を助ける側だった彼が殺める側に立つとは、金と権力に取りつかれると人は変わるものだと、コレットは哀しく思う。


「そう上手くいくかな?私を殺したとしても、マリアを即位させるのは簡単なことではないぞ」