狼陛下と仮初めの王妃



コレットは陛下をじっと見つめた。

彼は、リシェルを投獄して罰するのだろうか。

もしも自分がリシェルの立場だったら、同じことをするかもしれない。

それほどに、つらい日々だったと想像できるのだ。

コレットは、陛下の服をぎゅっと掴んだ。


「陛下……?」

「子爵もご存知ならば、彼も同罪とみなす。一家には国外退去をしていただく。だが、子爵としての残務処理もあるだろう。退去期日は定めない。追って沙汰状を渡す」

「情状酌量……本当に、本当にありがとうございます!」


侍女が深々と頭を下げて涙を拭くのを見、コレットはホッと胸をなでおろした。

きっと、罪に対してできうる限りの軽いお沙汰を、陛下は命じたのだろう。

これで禁じられた書物は呪いの書物ではなく、突然死はないことも分かった。

用事が済み、陛下の後に続いて応接間から出ようとするコレットに、リシェルがそっと話しかけた。


「コレット王妃、陛下のことを愛しておられますか?」

「え……はい。すごく、素敵な人で……恋しています」


コレットが頬を染めつつも返事をすると、リシェルはにこっと笑った。


「王妃にふさわしい人は、なにがあっても、王を愛せる人だと思います。わたくしにはできませんでしたが、コレットさまならきっと大丈夫ですわね」