王を殺めたことで内戦に発展するとは思っておらず、胸が張り裂ける思いだっただろう。
代わりとなって懸命に政治をしようにも大臣が牛耳っていて、国はボロボロになっていた。
そんなとき、当時の騎士団長だった陛下に望みを託したのだ。
“あなたが立ちなさい”と。
コレットには夜の営みが分からないが、そうせざるを得なかったリシェルの気持ちは痛いほど伝わっていた。
「サヴァル陛下、どうぞわたくしを捕まえてくださいませ」
リシェルが頭を垂れると、静かに聞いていた年配の侍女が声を上げた。
「どうか、お願いします!奥さまをお連れするのはおやめください!奥さまは、もう十分に罰を受けておられます!」
リシェルの脚を示した侍女は、代わりに自分が罰を受けると、涙ながらに懇願する。
「事故のせいで、奥さまにはもう、お子さまも授からないのです!」
つらい話でコレットは居たたまれなくなるが、ふと疑問に思ったことをリシェルに尋ねた。
「あのっ、ご主人はそのことを知っているんですか?」
「知っていますわ。この脚が動かないことも、犯した罪も、全部を知っているうえで、わたくしを嫁に迎えてくださいました」


