リシェルは、息を飲んで見つめるコレットと探るような瞳をした陛下を交互に見、ゆっくり口を開いた。
「ユーリスさまには、わたくしが毒を盛りました」
信じられない言葉で絶句するコレットに対して、陛下は態度を変えずに淡々としている。
「それが本当ならば、何故、王を殺めたのですか」
「ユーリスさまは、わたくしを愛してくださいませんでした。毎晩ベッドを共にしていましたが、ただの一度も……毎晩ほかの殿方にわたくしを任せて泣くのを見て、悦楽にふける。そんな性癖のお方でした」
リシェルは離縁を求めたがユーリスは頑として認めず、毎日が侮蔑と屈辱にまみれていた。
誰にも相談できず、耐えられなくなり最上階から身を投げようとしていたとき、当時の大臣に止められて毒殺を持ちかけられたと、薄く微笑む。
「大臣は、わたくしを抱く殿方の知り合いでしたわ。何もかも知っていました。彼は政権を、わたくしは屈辱の日々から解放を。その誘惑に負けましたの」
「それでは、当時“原因不明”と死因判定をした医師も仲間ですか」
「ええ、あの医師が毒を処方いたしましたから。彼の身の行方は、わたくしの関することではありませんわ」
陛下の問いに答えたリシェルは、哀しそうに目を伏せる。


