茶色い外壁に赤い屋根の二階建て、小さな庭だけれど綺麗に花が植えられている。
馬車置き場もなく、貴族の家にしては小ぢんまりとして見えた。
馬を塀の柵に繋いで玄関を訪ねると、侍女らしき年配の女性が出てきて、ふたりを応接間に通した。
「ただ今奥さまをお連れ致します」
そう言われて待つこと数分、元王妃がふたりの前に姿を現し、コレットは思わず「あ!」と声をあげてしまった。
ブラウンの髪にオリーブ色のドレスを着、とても美しいご婦人だが、車輪のついた椅子に座っていたのだ。
さきほどの年配の侍女が椅子の背を押して、コレットたちの前で止めた。
「見苦しくて、ごめんなさい。事故で脚を悪くして、立てませんの。久しぶりですね、サヴァル陛下。狼の目は変わりませんね」
「リシェルさま、お久しぶりです。こちらは妃です」
「お初にお目にかかります」
コレットが名乗って作法通りの挨拶をすると、リシェルは優しく微笑んだ。
「おふたりが、わたくしに会いに来た目的は分かっています。もうそろそろ来るのではないかと、予感しておりました」
リシェルは、遠くを見るような瞳をしている。
それは哀しげで、まるで過去を思い出しているよう。
予感していたということは、やはりなにかを知っているのだろうか。
「ならば、単刀直入に尋ねます。ユーリス王が亡くなったわけを、お教えください」


