「夜会に来た者の仕業かもしれないが、来賓が城の中をうろつけば必ず警備の目に留まって報告が上がる。でもあの夜はなにもなかった。そうやって可能性を消去していけば、自然に彼女にたどり着くんだ」
「でも、どうしてそんなことを?」
盗むなら、宝石がたくさんついている宝剣の方が宝物としての価値がありそうだと思える。
どうして書庫の鍵なんだろうか。
「それは、本人に聞くべきことだな。今ごろ、アーシュレイがマリアの実家に向かっているよ」
「捕まえるのですか?盗んだのは、マリアじゃないかもしれません」
「それを確かめるんだよ。誰かに脅されて鍵を盗んだことも考えられるから、今は内密に動いている。捕まえるのは、マリアの身を守るためでもある。この件はもう君の手に負えないところにあるんだ」
私に任せておけと諭すように言う陛下に、コレットは素直にうなずいた。
もしかしたら、裏山で襲ってきた敵と一緒かもしれない。
陛下は見張りをつけてあると言っていたけれど、今は危険な状態なのはコレットにもよく分かっていた。
「それよりもだ。先日、君が希望していたことを話そうか」
「わたしの希望って、もしかして先の王妃さまに会えるんですか?」
「私も謎を解きたいからな。いい機会だ」
陛下はハンネルが帰国した後に行こうと言った。
書庫の鍵のこと。ユーリス王のこと。正体不明の敵のこと。頭の中に浮かんでは消えていく。
その夜コレットは、なかなか寝付くことができなかった。


