狼陛下と仮初めの王妃



ふたりは、部屋にお帰りくださいと言うが、コレットは従うことができない。


「でも、わたしは探し物をしてます。大事なものなんです!ふたりがついてくだされば、大丈夫でしょう?だから、あのっ、城の落とし物はどこに届けられますか!?」


騎士たちは顔を見合わせてうなずくと、必死な様子のコレットに落ち着くように進言した。


「分かりました、ご案内いたします。ですがコレットさま。危険ですので、走るのはやめましょう」


ゆっくり歩く騎士に先導され、一階の役人室に行って落とし物リストを見せてもらうが、鍵の文字はどこにも見当たらない。

何をお探しですか?と尋ねる役人に対して曖昧な微笑みを返し、コレットは四日前に行動した道筋を思い出しながら辿り始める。

王妃の執務室の中も、騎士たちに協力してもらいながらあらゆる物の下を探したが、見つからない。

あまりのことに涙が出そうになるがぐっと耐え、陛下が戻るまでに見つけたい!その一心でキョロキョロしながら廊下を歩く。

するとすぐ横にある扉がぱっと開き、出てきた人物がコレットを見つけると姿勢を正した。

くいっと唇の端をゆがめて礼を取るのは苦手なミネルヴァで、コレットはさりげなく首のあざを髪で隠した。


「これはこれは王妃さまではございませんか。こんなところで、なにをしておいでですか?」

「ただの散歩です」