今までにない甘すぎる感覚に耐えていると、耳の下あたりでチクッとした痛みを感じて小さな声を上げた。
「もう少し我慢してろよ」
陛下のささやき声が耳元でしてくすぐったく、コレットが肩をすくめると、陛下の手がそれを阻んだ。
「まだ駄目だ」
切なげな声で言う陛下の吐息が肌を熱くさせ、意識が唇に触れられている部分に集中する。
首の付け根あたりが再びチクッとした後、ようやく陛下の頭が離れた。
熱で潤んだ青い瞳に、口角をあげた唇がぼんやり映る。
「あの、陛下……今、なにをしたんですか?」
「私がハンネルとの外交をしている間は、忙しくて目が届きにくくなる。だから君が勝手に出歩いたりしないように、まじないをかけたんだ」
「今のが、そうなんですか?」
コレットはちくんと痛んだ首筋を触ってみたが、別に傷もなくて、なにも変わらないように思う。
「君は好奇心が強くて、意外な思考回路を持っているだろう。なにをするか分からない。だからとりあえずの応急処置だ」
純真無垢で男女の愛の営みなど知らないコレットには、陛下の言っていることがさっぱり分からず、ただ首を傾げるばかり。
けれども、紫の瞳からはさっきまでの鋭さが消えており、体全体はいつもの甘い空気をまとっている。
どうやら、彼の中での問題が解決されたよう。
でも、組み敷かれた状態は変わっていない。


