狼陛下と仮初めの王妃



またひとつ難関を突破できてホッと息をついていると、陛下の元にはご令嬢が集まって来ていた。

ダンスをする前にい並んでいた面々とは違う人ばかりで、頬を染めて上目遣いに見つめている。

どうやら陛下のダンスのリードぶりが、乙女の心に響いたよう。

今度こそ、彼はダンスの誘いを受けるはず。

そして、彼がご令嬢たちと踊っているうちに、エドアールに近づいて例の話を聞くのだ。

そう算段するコレットのところにも、貴公子たちが集まりつつあった。

社交的な自己紹介をして、皆一様にダンスを申し込んでくるので、どうしたものか困ってしまう。

なかなか思う通りに動けないものだと苦笑いを零していると、「失礼」と言って貴公子たちの間を割って入ってくる者がいた。


「コレット王妃、今度は、私と踊っていただけませんか」


そう言って優雅に手を差し出したのは、エドアールその人だった。

主たる客人からの誘いならば、誰よりも真っ先に応えるもの。


「エドアールさま。はい、喜んで」


コレットが心からの笑顔を向けながら手をとると、エドアールは破顔した。


「そんな笑顔を見せられるとは……。これは、私を待っていてくれたと、うぬぼれてもいいのかな?」