彼の手は今までコレットの腰にあてがわれていたものの、皆が個別に話しかけてくるのでふたりの間は微妙に離れていた。
それが抱き締めるようにされており、彼の前にい並ぶご令嬢たちは驚いた顔をしている。
中には、青ざめた顔色をして口元を指先で覆っている人も。
驚きつつもコレットが見上げれば、陛下がご令嬢たちに向けている視線は鋭くて、とても怒っているよう。
コレットがお裁縫箱をもらったとき、陛下にお話をしなかったことで怒りをかったときの数倍は怖い顔をしている。
これはどうしたことか。まさか、誰かが陛下に対して失礼なことを言ったのだろうか。
この中に身も心も王妃に相応しいご令嬢がいるかもしれないのに、こんな顔をしていては嫌われてしまうだろう。
それに、せっかくの楽しい場なのに、これでは雰囲気が悪くなってしまう。
コレットは、陛下をなだめてみようと思い、おそるおそる声をかけた。
「あの……陛下?」
「悪いが。私が最初に手を取るのは他の誰でもない、妃だ」
言葉とともに陛下の腕に力が入り、コレットの体はますます密着してしまう。
なにがあったのか分からないし、偽物王妃なのに、本物候補のご令嬢たちの前でこんな態度をとってもいいのかと思う。


