陛下は背が高く、鍛えられた騎士の逞しさがありつつも、さらさらの銀の髪にスッと通った鼻筋で、目は二重のとても整った顔立ち。
想像していたよりも、はるかに素敵だったのだ。
皆に向ける視線は刃のように尖っていても、王妃に向ける表情からは甘い優しさも感じられる。
陛下は恐ろしい人だけれど、もしも見初められば自分もあんなふうに接していただけるのかと、ナタリーは夢見心地になっていた。
側室となるのもいいかもしれない。
「ナタリーならば、きっと陛下は、お見初めになられる。そうだ、今の王妃以上に愛されることは間違いないぞ。そうすれば、ナタリーがお世継ぎを生めるかもしれん。そうすれば、お前が一番の権勢を誇れるぞ」
「そう、よね!」
陛下の隣に寄り添う王妃は、花の刺繍が素晴らしいレースを重ねたドレスを着ている。
白い肌に青い瞳、結われた髪に付けられたティアラが灯りにあたってキラキラと光り、若くて眩しいほどに美しい。
異国出身のせいか緊張気味で、たまにぎこちない微笑みを見せるのがなんとも初々しい。
陛下は、そんな妃を庇うような仕草を見せるので、ご寵愛との噂は真実だと誰もが疑わない。
それでもナタリーには、自分ならばすぐに寵愛をいただけると思えた。
なぜなら彼女には、身分も美しさも、それに教養も、王妃に劣るところは何ひとつ思いあたらないから。
陛下と王妃は上座の中央に立つと、エドアールを大広間に招き入れた。


