狼陛下と仮初めの王妃



ハンネルの王太子エドアールを歓迎する会には、婚儀で見届け人を務めた大臣や公爵に加え、都街近隣に住む侯爵や伯爵方も参加している。

城で催される会には位の高い貴族が一堂に会するため、独身貴族たちにとっては格好の婚活の場でもある。

すでに、公爵家の貴公子や美しいご令嬢を中心にし、大広間のあちらこちらで人の塊ができていた。

ご令嬢たちは綺麗な色のドレスを着て瑞々しい美しさを、貴公子たちは快活な頼もしさをアピールしている。


城で大きな夜会が開かれるのは内戦後初めてで、皆の顔はとても華やいでいた。

特にご令嬢を持つ侯爵夫妻などは、陛下に見初められれば側室!エドアールに見初められれば王太子妃に!!と、滅多にないこの機会を逃すものかと目をギラギラさせている。

貴族たちはここ一年ほどの間、何度も陛下に縁談を申し込んできた。

自分の娘がいかに美しく聡明であるか、王妃となるべく教育を受けていることなどを手紙にしたため、熱心に送ってきたのだ。

それが蹴られ続けて会うことも叶わないままに日々は過ぎ、なんと、気づけば陛下は妃を迎えてしまった。

そうだったのか!思う人がいたから縁談が通らなかったのか!と納得するも、年頃の娘を持つ貴族としては国王の外戚となる夢は消えない。

談笑しながらも時々扉を気にし、陛下とエドアールのご登場を今か今かと待っている。