「だが、これは丈夫で水がなくても育ち、繁殖力もある。ハンネルでは雨が降らないことが多くて、昔は飢饉に陥ったことが何度もあるんだ。そのとき咲いていたサーラの花を食べて命を繋いでいたんだ」
「飢饉……ハンネルでは、サーラは大切なお花なんですね」
「そう、国の花にもなっているんだ」
エドアールは快活で話しやすく、最初ぎこちなかったコレットも次第に心を開いていった。
笑顔を交えて楽しく話をしていると、ふと、エドアールが真面目な顔になった。
「あなたは、とてもまっすぐで純粋な人だな。少し話をしただけだが、サヴァル陛下が妃に迎えた理由がなんとなく分かったよ」
エドアールは、謁見の間では少し疑いの目を向けていたと明かした。
ハンネルでは、ミリガンの名前はあまり聞かないとも言って、まっすぐコレットの目を見つめる。
「真相は、訊かないよ」
エドアールの言葉に、コレットは曖昧な微笑みで返すことしかできない。
でも彼が訊かないでくれることは、とてもありがたいことだった。
「本当にこの国に内戦があったのかと思うくらい、街は美しかった。この目にするまでは心配していたが、平和で穏やかで安心したよ」
「はい。全部、サヴァル陛下のおかげです。内戦は残念な歴史でした」
「まさか国王の死で、内戦にまで発展するとは思ってなかったな。私は、先の国王とは親しくしていたんだ。亡くなるほんの少し前に、彼は妃と一緒にハンネルに来た。あれほど元気だったのに、亡くなったのがいまだに信じられないよ」
「……流行り病で亡くなったと、発表されています」


